予防メインテナンスとは？

むし歯や歯周病は、決して突然起こるわけではありません。生活習慣・食習慣・細菌の量・歯磨きの癖など、さまざまな要因が積み重なることで、少しずつ進行していきます。

治療が必要になるほど進んだ病変は、元の健康な歯に完全には戻せません。たとえ白い詰め物やセラミックで見た目を整えたとしても、本来の歯の強さや寿命には及ばないのが現実です。

だからこそ、「治る前に守る」という考え方が非常に大切です。軽度のむし歯であれば削らずに経過観察できる場合もあり、歯周病も早期に適切なケアを行えば進行を大きく抑えることができます。

予防は“治療を避けるための最善策”であり、結果として治療回数・治療費・通院の負担を大幅に減らすことにつながります。

 

埼玉県では、予防歯科への意識が年々高まり、定期的にメインテナンスへ通う方が増えています。歯科先進国スウェーデンでは、3〜4か月ごとの定期管理が習慣になっており、80歳になっても平均20本以上の歯を残せる人がほとんどです。

一方、日本では「痛くなった時だけ行く」習慣が定着していたこともあり、残存歯数の差が大きく開いてきました。

川越市でも、むし歯ゼロで成人を迎えるお子様や、40代・50代から予防を始めてお口の状態が安定した方が増えています。

定期メインテナンスの役割は、ただのクリーニングではなく、

 

・細菌量のチェック

・歯ぐきの炎症や腫れの有無

・磨き残しの癖

・食生活・生活習慣の確認

・歯の小さな変化の早期発見

 

つまり「一人ひとりのリスクを理解し、悪化を未然に防ぐこと」にあります。

当院では、患者様が“自分の口の状態を理解しやすいように”口腔写真や検査結果を用いながら丁寧に説明し、予防の必要性を一緒に確認しながら進めています。

 

ですが、お口の健康を長く保つために欠かせないのは、“治す技術”よりも“悪くしない仕組みづくり”です。

 

予防歯科メインテナンスでは、

 

・歯の汚れや歯石を徹底的に除去

・歯の表面を整えて汚れがつきにくい状態へ

・フッ素で歯質を強化

・必要に応じてシーラント等でむし歯リスクを軽減

 

といった処置を行い、“むし歯になりにくい環境”を育てていきます。

これは、美容院で髪を整えるように、お口の健康も「定期的に整えることで良い状態をキープする」という考え方です。痛みが出る前にケアをすることで、「削る必要のない健康な歯」を維持できる可能性が大きく高まります。

 

近年の研究では、口腔内の細菌が血管・心臓・脳・呼吸器など全身に影響することがわかってきました。歯周病は糖尿病・心疾患・誤嚥性肺炎・早産などとの関連も指摘されており、「お口は全身の入口」と言われるほど、健康への影響が大きい場所です。

特に、川越市の子育て世代や働き盛りの年代では、忙しさから歯科受診が後回しになり、気づかないうちに歯ぐきの炎症が進んでいる例も少なくありません。

定期メインテナンスを習慣化することで、

 

・生活習慣病のリスク低減

・将来の医療費負担の軽減

・健康寿命の延伸

 

という大きなメリットがあります。

 

PMTC

フッ素塗布

医院で歯に高濃度のフッ素を塗布します。フッ素を定期的に歯の表面に塗布することで、虫歯になりにくい歯を育てていきます。十分な効果を得るためには、年に3～4回のフッ素塗布を行うことが理想です。

フッ素の3つの効果

唾液検査（サリバテスト）

ホームケアの改善と患者様に合わせた生活指導

 

多くの患者様が「毎日しっかり磨いているつもりなのに、むし歯ができてしまった」と感じた経験があるのではないでしょうか。

実は、歯磨きの“時間”よりも「どこに歯ブラシが当たっているか」「どれくらいの力で磨いているか」が予防に大きく影響します。

当院では、メインテナンス時に磨き残しを可視化するための染め出し・口腔写真・歯ぐきの状態チェックを行い、患者様ごとの磨き方の癖を一緒に確認します。

 

・奥歯の噛む面は磨けているが、内側がほとんど当たっていない

・歯ブラシを大きく動かしてしまい、細かい汚れが残っている

・力を入れすぎて歯ぐきが下がりやすい磨き方になっている

・前歯の裏側に歯垢が蓄積しやすい

・デンタルフロスを使う習慣がなく、歯間の汚れが取り切れていない

 

こうした“クセ”はご自身では気づきにくく、自宅での歯磨きだけでは限界があります。

そこで当院の歯科衛生士が、

・ブラシの角度

・動かし方のリズム

・細かい部分の当て方

・歯ブラシの種類の選び方

・フロスや歯間ブラシの効果的な使い方

 

など、患者様のお口の状態・歯並び・年齢に合わせたアドバイスを行います。

正しい磨き方が身につくことで、みがく時間は同じでも汚れの除去率は大幅に向上し、むし歯や歯周病の進行を抑える大きな力になります。

 

むし歯や歯周病は、歯磨きだけで防げるものではありません。

特に、現代の食環境は糖質が多く、間食のタイミングも不規則になりがちです。

そのため、川越市でも“生活習慣の見直し”が予防歯科の重要なポイントになっています。

 

◎ 食生活がむし歯リスクに影響する理由

むし歯は、歯の表面を守る「再石灰化」と、細菌が酸を作る「脱灰」とのバランスが崩れることで進行します。

間食の回数が増えると、口の中が酸性になる時間が長くなり、歯の修復が追いつかなくなります。

 

特に注意が必要なのは、

・甘い飲み物（ジュース・甘い缶コーヒー・スポーツ飲料）

・柔らかく粘りつくお菓子

・長時間だらだら食べてしまう癖

 

これらは歯の表面に長く残りやすく、むし歯の原因となります。

当院では、普段の食習慣や間食の頻度を伺いながら、「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」「どの順番で食べるか」まで考慮したアドバイスを行います。

 

◎ 唾液量は“天然の予防薬”

唾液には、

・歯を修復する再石灰化の促進

・細菌を洗い流す自浄作用

・酸を中和する緩衝能

 

といった重要な働きがあります。

しかし、ストレス・加齢・薬の影響・口呼吸などで唾液量が減ると、お口の中が乾燥しやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが急上昇します。

 

必要に応じて、

・唾液を増やすトレーニング

・口呼吸の改善

・食事のアドバイス（噛む回数を増やす・キシリトールの活用 など）

 

を組み合わせ、唾液の働きを高める生活習慣づくりをサポートします。

 

ホームケアは“正しい知識”と“続けられる方法”が揃って初めて効果が出ます。

歯科医院でのメインテナンスに合わせて、日常の習慣が整うことで、むし歯・歯周病の予防効果は大きく高まります。

 

みらくる歯科クリニック川越では、患者様一人ひとりの生活背景を大切にしながら、負担の少ない・続けやすい予防プランをご提案しています。

 

予防歯科メインテナンスでどれだけ変わる？

予防メインテナンスを行っている方と、痛いときだけ通院する方では、むし歯の発症率に大きな差があることが知られています。

 

◎ 定期的に管理している方の特徴

・むし歯の初期段階で発見され、削らず経過観察できる

・歯ぐきの炎症が悪化する前にケアできる

・磨き残しの癖が改善し、プラークが蓄積しにくい

・唾液検査による“自分のリスク”を理解し、生活習慣が整う

結果として、治療回数が圧倒的に少なくなり、「生涯を通して歯科で大きな治療をしない」という状態をつくることができます。

 

一方で、メインテナンスを受けていない場合、

・小さなむし歯が気づかれず、進行して神経を取る治療になる

・歯周病が静かに進み、取り返しのつかない骨の吸収が起こる

・歯を守るはずのセルフケアが適切に行えていない

など、口腔内のトラブルが重なります。

 

◎ 「見た目は同じでも、結果が大きく変わる」

実際に当院でも、同世代であってもメインテナンスを続けている方は“治療をほとんど受けずに”過ごす一方、症状が出た時だけ受診する方は数年のうちに複数本の治療が必要になるというケースが珍しくありません。

むし歯や歯周病の進行は「痛みの有無」で判断できないため、歯科医院によるプロフェッショナルケアが大きな役割を果たします。

 

予防歯科の世界的な成功例としてよく挙げられるのが、スウェーデンの予防モデルです。

スウェーデンは“予防を国家レベルで推進した国”として知られ、定期メインテナンスが国民の習慣として根付いています。

その結果、80歳時点の残存歯数は日本よりも圧倒的に多いことが報告されています。

 

 ◎ 残存歯が多いと何が良いのか？

・食事が美味しく食べられる

・噛めることで内臓・脳・筋力に良い刺激が入る

・誤嚥や全身疾患のリスクが下がる

・入れ歯・インプラントの費用負担が減る

 

つまり、歯が残っているほど人生の最終段階まで“生活の質（QOL）”が高く保たれます。

スウェーデンの研究では、20本以上の歯が残っている方の年間医療費は、歯が4本以下の方と比べて約17万円以上低いという結果も示されています。

 

これは、歯を失うことで

・歯科治療費が膨らむ

・かみ合わせが悪くなり全身疾患を誘発しやすくなる

・食事や運動が制限される
などの影響を考えると納得できる数字です。

 

◎ 川越市でも“予防を続ける人ほど歯が残る”傾向が明確

当院の患者様でも、定期的に通っている方は40代・50代でもお口の中が非常に安定しており、「以前より歯医者に行く回数が減った」「歯がしみることがなくなった」と実感される方が多くいらっしゃいます。

 

メインテナンスに数千円の費用がかかったとしても、将来的に抜歯・ブリッジ・インプラントに移行することを考えると、 “予防は将来の医療費を大きく下げる投資”といえるでしょう。

 

むし歯や歯周病が少ない人生は、治療のストレスも少なく、食事や会話を心から楽しめます。

予防メインテナンスは、単なるクリーニングではなく、健康寿命そのものを伸ばす取り組みです。みらくる歯科クリニック川越は、患者様の「10年後・20年後の健康」を見据え、

一人ひとりのお口の状態に合わせた予防プランをご提供しています。

 

子どもの予防歯科：親子予防で虫歯リスクを最小に

 

乳歯のむし歯の大きな要因のひとつに、“むし歯菌が大人から子どもへ移る”ということがあります。

実は、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、むし歯の原因となるミュータンス菌は存在しません。

ところが、周囲の大人の食器共有やスキンシップを通じて感染が起こると、お子さまの口内でむし歯菌が定着しやすくなります。

特に重要なのが、1歳7か月〜2歳7か月の「感染の窓」と呼ばれる時期です。

この時期は、お子さまの生活が大きく変化し、

 

・食事の幅が広がる

・自分で食べる機会が増える

・歯がそろってむし歯菌が定着しやすくなる

  といった要因が重なるため、むし歯リスクが一気に高まります。

 

この期間にむし歯菌の感染を最小限に抑えることができれば、その後のむし歯発生率は大きく下がると言われています。

 

◎「感染の窓」を守るためにできること

・ 大人と子どもでスプーンやコップを共有しない

・口移しで食べ物を与えない

・親御さん自身のむし歯や歯周病を治療する

・お子さまの歯磨きを毎日大人が仕上げ磨きする

・甘い飲み物・間食の頻度を整える

・フッ素塗布やシーラントを適切な時期に行う

 

これらを徹底することで、むし歯菌の感染と定着を大きく防ぐことができます。

当院では、1歳半〜3歳のお子さまに対して、成長段階に合わせた歯磨きレッスン・フッ素塗布・生活習慣の相談などを行い、ご家庭でも続けられる予防習慣づくりをサポートしています。

 

むし歯菌の感染を考えると、“親御さん自身の口腔環境を整えること”も、お子さまのむし歯予防に直結します。

むし歯や歯周病を抱えた状態が続くと、口の中の細菌量が増え、日常生活を通じて子どもへ移るリスクが高まります。

一方で、親御さんが定期的に予防メインテナンスを受けているご家庭では、子どものむし歯発症率が明らかに低いという報告もあります。

 

親御さんが予防すると、子どもの未来が変わる理由

1.家庭内の細菌数が減る

   　歯周病やむし歯の治療を行うことで、大人の細菌リスクが低下する。

2.食習慣が整いやすい

   　親御さんが甘いものの摂り方や食事のリズムに気を付けるため、子どもも自然と健康的な習慣に。

3.仕上げ磨きの質が上がる

   　親御さんが正しい磨き方を学ぶほど、お子さまの仕上げ磨きが上達する。

4.“予防する生活”が家庭文化になる

   　歯医者＝痛いところではなく、“健康を守る場所”という意識が育つ。

5.将来の医療費と治療負担が大きく減る

   　子どもの頃にむし歯が少ないと、大人になっても治療が少なくて済む。

 

このように、親御さんが自分の口腔ケアに取り組むことは、子どものむし歯予防の基盤となり、将来のお口の健康にもつながる“最良のプレゼント”と言えるかもしれません。

 

予防歯科メインテナンス よくある質問（Q&A 10項目）